「さっそく友達らしく、アドレス交換しようよ」
私にレンズを塞がれたからか、撮影を諦め、携帯を振りながらのお誘い。
「うん。あ」
「何?」
「私なんて言えばいい?」
「何を?」
「名前」
赤外線での交換を終え、アドレス帳を確認する。
河谷白夜
太字で表示されている彼の名前。
彼をフった事は、何故か心に残らなかった。彼が告白後も変わらず接してくれたからだろうか。
という、一大事が起こっているのにも関わらず、今は全く関係のない、自分の家族の事ばかり考えてしまっていた。それ以外の事は、考えられなくなっていた。