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沙夜の部屋の前。
本当なら窓から行きたいとこだけど、
今はそんなことできる状況じゃない。
深呼吸してドアをノックした。
コンコンっ―
、、、。
少しして、ガチャリとドアが開いた。
出てきた沙夜はびっくりした顔で俺を見ている。
「沙夜に、お願いがあるんだ。」
ここに来た目的を告げた。
「文化祭の午後の時間を、俺に下さい。」
―沙夜が動揺したのが分かった。
大きな瞳を、俺からそらしたから。
ダメかな、って思ったけど、
「ぁたしも、司とまわりたい」
ハッキリした声だった。
そらされた瞳はしっかりと俺をとらえていた。
どうやら彼女は俺が思うよりも強いらしい。
綺麗な瞳が愛しくて。
抱き締めたい衝動にかられた。
壊れるくらいに、強く。
だけど、今の俺にその資格はないから。
俺は弱虫だ。
好きな人を困らせることしかできない、世界一の弱虫。
その場にいるのがいたたまれなくなって、
別れも告げずに走って部屋に戻った。