そして、自分の部屋に入って、傘を持って出てきた。

「、、は?」

「行って!もし沙夜が中庭にいたら…」

「、、なんで俺が」


その瞬間、青木メイの手が、俺の頬を打った。

「、ぃって、っ、、」


「痛くない!あんた男でしょ!早く行けっ!」


その瞬間、俺は心の何かが取れた。


かっこ悪くていい。

沙夜が優を選んでもいい。


俺が、俺なりに、沙夜を守れればいい。


「、、悪い。借りるな」

俺は、青木メイの傘を借りて、走り出した。



最後に見えた青木メイは、涙の跡がある、笑顔だった。



雨は、もう本降りだった。

中庭の、その雨の中に、


小さな背中を、見つけた。

震えた背中を、見つけた。


俺は、その背中に、後ろから傘を翳した。

その背中は、もっと震えた。


俺が司だ、って気付いてるだろう

、、、沙夜は。