★沙夜side




―「司っ待って!!どこ行くのっ」
―「司、、置いてかないで、、」


・・・
ハッとして目が覚める。

「また夢」

最近、同じ夢を何度もみる。

嫌な夢だ。



文化祭が終わって、冬本番。

外に出ると、雪が降っていた。
「寒っ」

中に戻ろうと思ったら、視界の端に翔さんが映った。


ぁんなことがあったから、少し、気まずい。

けど、今の翔さんは、すごく、寂しげに、どこか一点を見つめている。


なんだか放っておく気にもなれなくて、そばへ行った。


「翔さん?」

声をかけても、返事がない。

私は翔さんの正面にまわった。

「翔さ、、、泣いてる、の?」

翔さんはうつむいて震えていた。

泣いてるのは翔さんなのに、私の胸が締めつけられた。

「沙夜ちゃん」

震える声で、呼ばれた。

「翔さん、、っ」

抱き締められた。崩れそうに弱い力で。

押しのけることもできた。

だけど、こんなに弱くもろい翔さんを見たのは初めてで。

私は翔さんにそっと腕を回した。

小さなこの人を、少しでも支えてあげたかった。