それから、優くんは思いっきり頭を下げた。

「ごめん!本当にごめん!許してもらえるとは思ってない。でも、謝るだけ謝りたいんだ。ごめん」

…優くん。


「顔、上げてよ。もう、いいから。私と司のこと、もう応援してくれるんだよね?だから。だから、放送も頼んでくれたんだよね?」

頭を下げたまま、頷く優くん。

「あたしからも、ごめん。沙夜」

優くんの横で、メイも謝った。


「もう、やめてよ。2人とも」

「でも」

「でも」

「もう、いいから」

私の声で、メイが優くんを起こした。

「私、優くんのこと、思い切り叩いちゃったしね?」

「あぁ、あれは痛かった」

そう言って笑う優くん。


うん、このポジションが1番いい。

あたしの横にはメイと司がいて。

そのメイの横には、絶対、優くんがいるの。


「あー、そうだ。沙夜、翔さんに何かされてないよな??」

…キス、されそうになった、、。

「あ、あのね、」


「神崎くんと緋山くんだー!かっこいいー!」

そんな声が飛び交って。


「されてないよ?」

笑ってそんな嘘を吐いた。

少しくらい心配してもらいたい。

でも。

司ばっかりモテて悔しいから

だから、ちょっとだけ。

ちょっとの間だけね?

嘘を。



…そう。

この時は、この小さな嘘が、あんなことになるなんて。


知る由もなかった。