「ま、魔法……?」



「ええ。とても素敵な魔法だと思うわ」

「……?」



どういう意味だろう。


ミユキさんの言いたいことが、いまいち理解できない。



「まあ、麻伽ちゃんがトーマスと離れることを決めたなら私は何も言えないけど。

麻伽ちゃんが寂しいならきっとトーマスも寂しがってるわ」


「珍獣さんも……?」


とまどいながら聞き返すと、ミユキさんは笑顔で頷いていた。

しばらくして、ミユキさんの言葉の意味も理解できないまま、あたしはミユキさんにお礼を言ってその場を去った。





一人で珍獣さんの家までの道を歩いていると、募る寂しさ。

やっぱり、あたしはもっと珍獣さんといたいんだね。


でも、もう迷惑かけてられないし。



帰ったらまずちゃんと話をして。

荷物を纏めて。


笑顔でお礼を言わないと。




そう心に決めてはき出した息は、真っ白で。

今日は寒いんだ、と実感した。





かじかんだ指先が、微かな振動に気付く。

ケータイ…。



珍獣さんからのメールだ。



実は初めてだったりする珍獣さんのメールを、あたしはドキドキしながら見た。



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件名:[指定なし]
本文:

どこいるの

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心配してくれたのかな、とか思って。

すごく短いメールだってたけど、彼らしいと思い微笑んだ。