「とりあえずあんた達は寝なさい。もう9時よ」

「お母さん達は?」

「俺は風呂入る」

「んじゃあたしは火曜サスペンス観よっかな~♪」

「僕もみる!」

福村家の末っ子の洋平がパジャマ姿でやって来た。

「あんた達寝かしてくれたんじゃなかったの!?」

「寝かしたよ。あたし、本読んであげたもん。山田悠介の『×ゲーム』」

「俺は子守唄歌った。『ヒロシマのある国で』を」

「あんた達なんてものを読んだり歌ったりしてんのよ……」