「実柚、この前のお見合いに行かなかったそうだな。どういうつもりだ?」

私に威圧的な目線を向けていったのは、私の父、霧岬堅太郎(きりさき けんたろう)。

「父さん。私はお見合いなんてしません。自由に決めたいと言ってるではありませんか!!」

「お前に決定権はない。俺に従っていれば良いんだ。」

名前の通り、頭のかたい人だ。このやり取りをもう4年も続けている。

「貴方にとって、私は何なのですか?」

「駒だ。わが社の、な。 会社のために嫁げ。実柚」

「お断りします」

そんなのは嫌だ。一生この人のそばになんていたくない。

どうして母さんはこんな人と―――――

「決定権は無いと言っているだろう? しかし聴けこれは母さんの意見だ。高校卒業までに婚約者を連れて来い。そしたら“俺から”開放してやる」

卒業まで!? あと2年しかないじゃないか。 
何を言ってるんだコイツは。

「その条件が嫌なら、すぐに結婚しろ。 ・・・・・・どうする?」