最初に誰しも疑問に思ったであろうその言葉を、代表するかのように彼が聞いた。

――――――飯坂啓汰。誰もが好きにならざるえない、太陽のような男

彼を見ながらニンマリとして、答える。

「あぁ、私は英国の姫だ(母が真実ならそうなる)。
  警察関連の仕事もしているが(従妹が)、残念ながら詳しくはいえない(だって会った事無いし)。
 ある国では大臣席も持っているぞ。(コレもよく知らない) 
ちなみにこいつは執事だ」

ほぼハッタリだといってから気づいた。だって最初のはわかんないし、お母さんがそう言ってただけだから。
 従妹がすごいって言うのは差し出し住所不明の一方通行のお父さんの手紙で知った。

 コレで、騙されてくれればいい。私がいなくなった時、危害を加えようとする人は減るだろう。
―――彼と仲良くしていた私の記憶が残る限り

「で、返事はしてもらえたのですか?」

明がそう言った。顔に出てないけど絶対面白がってる。
 私も便乗して、え? 今? みたいな顔をしている啓汰君に追い討ちをかける。

「返事は?」

内心ドキドキしながらそう聞いた。

反則技だろ……とか横から聞こえたけど、反則って何よ。反則って。

「お、俺も。俺も好きだっ」

そう言ったのを聞いて、心があったまるのを感じた。コレが久しぶりに感じた〝幸せ〟なのかも知れない。
 顔が自然に綻んでいく――――――


「お嬢様… そんな脅迫のように… 大変だと思うが、頼みます」

私だけに見える方向にニヤッと笑って、啓汰君の方には哀れみの目を向けた。
 役者になれるんじゃない? 君。

「では、後は学校の人に任せましょう」

そう言って私と啓汰君の手をつかんで、教室から、学校から外に出た。

明はフウッと息を吐くと彼に視線を合わせた。