「お前調子乗ってんじゃねーよっ!」

そんな言葉から始まる、今日の昼休み

「って言うか~目障りだよね」

「そうそう、啓汰君もこいつウザイって思ってるよ」

結構、好意的な感じだと思ったけど?
 と言いますか、聞き飽きたよその言葉。
ボキャブラリー少ないね。キミタチの知能を疑うよ

「啓汰君優しいからそういうの言えないんだよね」

「さっさと気付けっつーの」

「キャハハハッ 言えてる~」

下品な笑い方。品位を疑うよ。女の子かよ。
 苛めるしか能の無い奴等が、調子に乗るなよ。

ゾワッと空気が変わった。実柚の周りの空気が下がったのだ。一気に氷点下まで

 食べられるだけの弱い生き物から、肉食獣おも食らう大型のソレに変わったかのようだった。

それに気付いたのは一人だけだった。それ以外は気付かずに震えだした彼女を不審がっている。

「どうしたの? ナナ?」

そう声をかけられた、立花菜々子は崩れ落ちた。

「こ、この、感じ。し、知ってる……」

「知ってるって、コレいつもやってんじゃん」

「アレ~ナナおかしいよ?」

「お、同じだっ。明高の時と、明星(めいせい)高校の時とっ」

やっと、彼女たちは菜々子の様子と、実柚の様子がおかしい事に気づいた。

頭を抱えて震えだした菜々子を横目に見ながら、実柚は立つ。

「お前等、調子に乗ってんじゃねーよっ」

反論した事のない美柚がそんな事を言い、彼女たちを驚かせた。