数分してから美華が俺の待ってるとこまでやってきた。
薄着で。
いくら梅雨の時期でむしむししてるからって
この格好は寒いだろ。
俺は上に着ているウィンドブレーカーを美華に着せた。
「ありがと・・・」
「・・・電話ごしの男の声、雄哉だよな?」
「・・・うん。」
「・・・なんで?なんで雄哉と一緒に住んでんの?たらしこむって何?
すべて雄哉と事前に相談してやったことなの?
俺のことホントは・・・好きじゃねえの?」
俺は思いっきしにらんだ。
すると美華は少し涙目になった。
「・・あたしは昔雄哉に拾われた。それで雄哉は紅也が嫌いだからあたしにたらしこめって言われてたらしこんだ。
・・・見事あんたは引っかかった。
・・・・あたしがあんたみたいな奴好きになると思った?
ばっかじゃないの?はい、このウィンドブレーカーいらない。
中途半端な優しさ、逆にうざいから。
じゃああたしの任務は終了だから。
じゃーね。“紅也さん”」
美華はそう言い切り去っていった。
俺はその場にしゃがみこんだ。
「・・・・馬鹿だ・・俺・・・・」
そういいその場で泣いた。
くやしいくらい大好きになったのに
全ては雄哉の罠だった。
雄哉は信用してたし・・
Wで一気に裏切られてかなり心が痛んだ。
親友と大好きな人に裏切られるとこんなにきついんだ・・・
「だせえよ・・・俺・・・」
ずっとそこに座り込んだ。
ありえないほど涙を流した。
でもなにもすっきりしなかった。