高2の6月。

「泰ちゃん何そのキーホルダー…」

泰ちゃんが小汚ないくまのキーホルダーを手に持っていた。

「かわいいだろ?」

「…ごめん、全っ然かわいくない!くまの目が嫌!何かたくらんでそう!」

「えー!俺椎香にあげるつもりで昨日必死にゲーセンでとったんですけど…」


いらない!と言いながらもあたしのためにとってくれたことに喜んでいたあたし。

周りからも「付き合ってるんでしょ!?」と言われ続けていたあたしたちだけど、今の関係が壊れるのが嫌であたしは告白なんてできなかった。


それが急に、あたしとは目も合わせないほど避けられて、同じクラスの真奈という子と一緒にいるようになった泰ちゃん。


あたしはそれまで、心の中で“泰ちゃんと1番仲の良い女の子でいられればいい”って思っていたけど、真奈といるところを見てそれじゃだめだって気づいた。