いつもアスティは、ふんわりと優しく笑う。


思い切り笑うのは、ほとんど見たことがない。


大人びてるとか、そういうのとは違って…憂いを含んでいるような、そんな笑顔。


「アスティは、強く育ってきたんだね」


「…え?」


弟に期待が集まって、自分は放っとかれるなんて、悲しいに決まってる。


それを乗り越えて、アスティは盗賊という道を選んで、ここにいる。


優しく笑えるのは、アスティが強い証拠。


「羨ましいな、アスティが」


「……リオ」


アスティは少し目を見張ると、すぐに笑った。


「すごいな、リオ。エルみたいだ」


その言葉に、今度はあたしが目を丸くした。


「なっ…、何で!?」


「エルも、オレのことを強いって、羨ましいって言ったから」


「………、」


な、何か悔しい。


エルと同じこと言ったなんて。