「おうッ」
「………」

“サッサッ…”

二人が握る箒の音
だけがその場に響く

「…寝癖…」
「えっ!」
「ばりハネてる」
「あ〜これとれんねん!」

“なんだ…普通に
話せてんじゃん…”

なんだかあたしは
安心していた。

「可愛い」
「…は?」
「あっ…間違えた」
「…………」

あたしは顔が
熱くなってきた…。

「ははっ!美也
めっちゃ顔赤いやん」

「だぁ〜うるさい!あんたが急にそんなんゆうからやんかぁ…」

「悪り悪り!つい…」

「ついって何や」

あたしは恥ずかしすぎてその場を立ち去った。


その日
帰りのバス停に
雅が居た…。

久々に同じ時間。
久々の雅との帰り道。

「あ〜疲れた」
雅が言った。
「あ〜美也もぉ」
いつもの二人…

只違うのは
なんだか照れる素振りの雅が居るだけ。

バスに乗り
家についた。

玄関で雅があたしに
手紙を差し出した。

「や…何?」
「まあ…読んでや」

あたしは受け取った。

部屋の自分の
ベッドに上り
手紙をそっと開いた。

始めて見る雅の文字。

「意外に可愛ぃ字書くんだなぁ〜」
「てか字きれい…」

あたしは
落ち着いて手紙を
読んだ。


“俺さ〜…
お前が好きやわ…”

「うわぁ〜
…告白……」

素直に嬉しかった。

返事は迷う必要なかった。
あたしはすぐに
返事を書いた。

「あたしも好き…」

大好き大好き…
本当に…

初恋なんて目じゃないくらい人生で
一番大きいくらいの
気持ちを抱いていた

手紙を渡した瞬間
雅はその場で
ガサガサと開いた

「ちょっ…ハズい」
「ば〜か…黙れ」
「や〜めれっ…」

手紙を見て雅は
本当の笑顔で笑った。

「まぢで〜!…やべ…
嬉しすぎるわっ…」
「…うん…まぢ」

だけどあたしは
まだ小学生だったから
付き合うのは
待ってもらった。

ああ…
貴方が今日から
“ 愛しいひと ”