「オメェもホンマはウタクのこと、裏切ろうかぁ、とか考えとるじゃろ?」


大神様がまた冷めた目で私を見下ろしてきた。


「そんなこと……ただ私は……」


ウタクのいない幸せも、母がいない幸せも、想像できない。

それはきっと、ウタクにとっても、母にとっても、私がいない幸せは存在しないんだと思う。


誰かが犠牲になったら、誰かが悲しむ。


自己犠牲や、誰かの犠牲の上に、幸せは成立しないんだ。



だから私は……ウタクと、遠く離れたとしても母も一緒に……。



「一緒に生きたいだけ」



だからここにいる。