「吉備の奴らはすぐにワイへの態度を変えた。
中には、ワイのせいじゃねぇ言う奴もおったけど、結局は助けの手は差し伸べず、見て見ぬフリ。
攻めてきた朝廷に、吉備の奴らはコイツが悪いと言って、ワイを差し出した。
朝廷の奴らは当然、ワイを狙うし、朝廷の奴が捕まえられんとなると、阿呆みたいに慕ってくれとった吉備の奴らもワイを狙う。
耳をつんざくような罵声に、ワイを目がけて飛んでくる無数の矢と槍。
追い込まれて、神の世界に戻ろうとした時、朝廷の頭がワイに2本の矢を放った。
一本は咄嗟に岩を投げて避けたけど、一本は左目に刺さった。
感じたこともねぇ身を貫く痛さと、滴り落ちる血に……ワイも気が動転した。
手加減なしに……神の力を使った」
神の力……。
手加減なしなら、今、私が受けているよりずっとずっと、大きいはず。