「そんなんしょうたら、いつの間にか人間界で思った以上の年数を過ごしてしもうてた。

出会った頃より随分打ち解けて、人間共もワイのことを名前で呼ぶようになった。

ジジィ共はワイのことを“獣の大神”としか呼ばん。

じゃけぇ“ウラ”と名前で呼ばれるんも、えれぇ新鮮じゃったし、少し……楽でもあった」


楽だと感じたのも、きっと嬉しかったということなんだろう。


「鉄があれば、農業も軍事力も発展する。発展は人々を活気づける。活気は力じゃ。

ワイのおかげで、吉備の国は結構な勢力を持った。


けど、それが面白くねぇ奴もおる。

全国統一しようと企む朝廷じゃ」