「吉備の国は古くから他の国と交流があったらしい。
じゃけぇ、ちょっと見た目がおかしいワイのことも、違う国の人……と思って、なんなく受け入れた。
変な目で見られるって予想しとったワイは……それが思ぅたより、嬉しかったらしいわ」
暗闇に灯るろうそくのように、消え入りそうなほど儚く、微かに……大神様の頬はほころんだ。
「阿呆みたいに張り切って、技術教えた。
そうしたらワイ以上に、阿呆みたいに人間共が喜ぶけぇ、
ワイはもっと阿呆みたいに力発揮して、農具を作ってやって、山に城を築いて、城壁も立派なんこしらえて……」
自分が否定されるより、受け入れられるのは嬉しい。
自分がしたことで、他の誰かが喜ぶのはもっと嬉しい。
大神様にも、嬉しいと思う感情はあった。
今は……?
今は、そうじゃないのかな?