鬼神……?

鬼であり……神でもある、ということ?


「しゃぁねぇけぇ、あの世へ行く前に聞かせちゃらぁ。ワイの昔話」



大神様はニッと歯を見せて笑い、私の髪から手を離した。


「その前に、あやかしの世界って神がおる所とか思っとる?」


私は声を出すのもしんどくて微かに頷いた。

大神様はそれを見逃さない。


「期待通りの阿呆は割りと好きじゃわぁ。人間じゃなかったら……な」


笑顔を浮かべてすぐ、冷ややかな視線が私の傷口をえぐるように見つめてくる。

ゾクリと走る悪寒の正体は、負った怪我からだろうか、それとも目の前の大神様からだろうか。