「あれ?息しとん?なんでじゃろぉなぁ……」
「……っ!」
大神様は私に近づき、不思議そうに、それでいて茶化すような顔で覗きこんできた。
息も絶え絶えな私は、たゆたう視線を向けるしかできない。
「まぁ大方、瀕死状態のお狐様が余計なことしたんじゃろぉなぁ」
大神様は鼻で笑って、私のお腹を楽しそうに蹴った。
麻痺状態の神経も、新たな痛みには律義に反応するから、再度生きてることを実感せざる負えない。
「ゲホッ……」
足元に広がった深紅の水溜りに、むせて口から出た血がぽつりと波紋を作った。
怪我はしたけど命はある。
ウタクが……私を大神様の攻撃から守ってくれた……。