私が唇を噛んでいると、
「おぉ、えぇ顔しとるなぁ。でももっとえぇ顔できるじゃろ?
血ぃ吐いて、反吐出して……苦しさに顔、歪めてもらわんとなぁ」
楽しそうに大神様は笑った。
「……う、ウタクみたい」
「一緒にするな、馬鹿が」
ウタクがかすれた声で嫌がる。
「ワイも一緒にされたら堪らんわ。ウタクみたいな……人間にうつつ抜かすよう奴、気が知れん」
大神様の言葉には人間に対する憎しみが籠っている。
どうしてだろう。
「どうして……大神様は人間のこと……」
「ふーん、ワイのこと興味あるん?聞きたいん?」
小首を傾げて、私に尋ねてくる大神様からは殺気が消えている。
私が小さく頷くと、わかったという風にパチリと扇をたたんだ。