「っウタク……!!」
煙が立ち上る場所から現れたのは、
朱色の木製の格子に囲われ、白い半紙で作られた紙垂(しで)が張り巡らされた部屋。
そこにいたのは、白い着物を真っ赤に染め上げたウタクだった。
お腹からも、腕からも、口からも血を流し、壁にもたれてぐったりしながらも、青い瞳は力強く、目が合うと再び「帰れ」と言われた。
私が最後に見た時よりも傷がひどくなってる。
「ウタク!今、助けに……!」
「じゃけぇ、それはさせんって。もうちょっと賢くなれぇや、人間」
「いっ……!!」
祭壇へ向けていた扇を、今度は私に向けた。
ウタクの元へ駆け出そうと伸ばした左足が痛み、私はその場へしゃがみこんだ。
祭壇が崩れた時とは比べ物にならないほど微弱な攻撃だけど、人間の私が血を流すには十分。
「人間と神の血が一緒の色しとんは、なんか納得いかんわぁ」
大神様は気だるそうに言いながら、また私に攻撃を放った。