―― ウタク様はもう2年も掟を破っていて……

さすがに大神様がお怒りのご様子だったんですよ ――



「なら……なんで20歳で結婚しなかった時に罰を与えなかったの!?」


「そんなん、他の奴から注意されるん嫌いなウタクが、理由もなしに掟破るはずねぇと思っとったからな。

これは狙っとる人間おるなぁって。

じゃけぇその人間連れてきたら、一緒にいじめたろぉって。ずっと計画しとったんじゃ」


「……!!」


「ワイ、気が短いけぇ……2年も待つん、しんどかったわぁ。

他の神は、ちゃんと20歳に結婚するし。ワイもさすがに、理由なしに手ぇ出せんからなぁ。

雑魚とはいえ神全員の反感かっても、体力使うだけじゃけぇ。

苛立った気ぃ静めるために、ホンマは殺しとぉなかったけど、森の妖怪共殺してしもうた」



大神様は扇の扇面を指でいじりながら、「悪さした奴らだけじゃけどなぁ」と、楽しそうに言い訳をする。

私は森で襲われそうになった妖狐が、すぐさま頭に思い浮かんだ。


囲われた時はどうしようかと思って怖かったし、私が術を使えていたら妖狐を傷つけ、もしかしたら殺したかもしれない。


でも今は術が使えなくて良かったと思う。


こんな非道な奴と……同等になりたくない。