唾が喉を通ることさえ難しいほど、体が一気に強張る。
それでも私は……。
思うように足が動かないけど、ゆっくりと歩みを進め、私は本殿の中へと入った。
近くで対面すると、立っていられないほどの威圧を感じる。
私は必死に膝へ力を入れた。
「ウタクを……返して」
「嫌じゃ」
「な、なんで!?まだ私の願いは叶ってないのに!
私とウタクが正式に婚姻の儀を交わせば……間に合うはずでしょ!?
掟違反にならないから、ウタクへの罰だって意味がなくなる!」
「いーやーじゃ。ワイの楽しみがなくなるじゃろぉが」
「た……楽しみ?」
大神様の言葉が理解できず、眉をひそめて聞き返してしまう。
そうしていると、大神様の後ろにある祭壇の奥から……。