辺り一面を未だ白い靄が包み込んでいる。
それなのに真っ直ぐ前を向けば、鳥居へ続く道はハッキリとしていて、私を早く来いと手招いていた。
「どうしよう。大見得切ったはいいけど……」
大神様との対面を想像して、心臓がバクバクと強く胸を打つ。
助けたい気持ちばかりで、自信はない。
でもじっとしていられなくて、助けに行くことを決めた。
自信じゃない。
大切なのは……助けたいかどうか。
私は身を縮めながらも歩き、赤い鳥居の前までたどり着くと、一つ深呼吸をした。
軽く首を横に向け、尻目で後ろの気配を探る。
「は、早く来てよ、ナライぃ……」
情けない声で呟いていると、空から鼻で笑われた。