皐月さんの腕は、ウタクの元へ行きたくて、大神様の術をなんとか消し去ろうとした痕だったんだ。


「……なぜ、なぜいつもお前だけ……」

「……皐月さん?」


俯いてる皐月さんの肩が小さく震えている。


「いつもいつも!なぜお前だけがウタク様の特別でおれるのだ!」

「皐月さん!」


皐月さんは顔を上げて叫ぶと、私の方へ駆け寄ってきた。

でもそこには、当然、大神様の術があるわけで。


「……っ!私が……私が人間だったら……」

「皐月さん……!」


術に弾かれて、その場へ座り込んだ皐月さんは、腕だけバチバチと術の膜へと打ち付けている。