「解!」
ナライは声と共に、大神様が術をかけているであろう場所へ手の平をかざした。
でも……何も起こらない。
「……ナライ?」
「解!!」
ナライは唇を噛んでもう一度術を放った。
それでも先ほどと変わった様子はない。
元々、大神様の術は透明の膜が張られているようなもので、かかっているのかいないのかわからない。
ナライも気づかずに引っかかって落ちたから、きっとこの世界の者でもわかりにくい術なんだろう。
それならもう解けてる?
「解だっつってんだろ!」
「ま、待って!ナライ!」
ナライが悔しそうに大声で言うのを私は止めた。