そう、わかってはいた。


でも、チラッと視線を動かしただけで気がつくほど、皐月さんのボロボロになった着物の袖。

そこから、火傷をしたように真っ赤に腫れあがった腕が見えた。


だから私達を助けるために、大きな術を使って、その反動で負った傷かと思った。


どうやらナライが落ちながらも術を繰り出したみたいだから、理由は違うみたいだけど……

何をしてそんな腕になったのか気になる。


「で?皐月がなんでここにいんだよ」


ナライはクリクリと丸い瞳を細めて、不機嫌そうに尋ねた。


「いつだってウタク様のお側にいたいと思うのは当然のことでしょう」

「……俺より本能に忠実な奴がいたな」


ナライが苦笑した。


私がウタクの神社へ行った時、皐月さんの反応がなかったのは、

無視していたというよりも、こっちにいたから気付かなかっただけだったんだ。


まぁ……例え気付いたとしても、出てきてはくれなかったんだろうけど。