私が手を取ると、ナライは慣れない手つきで私の腰をとり、膝を曲げて力をこめた。
「ちゃ、ちゃんと掴まってて!」
赤い顔をして呟き、ナライの腕を握る私の手が強くなったのを確認すると、地面を勢いよく蹴った。
ナライの身体と共に、私の身体も一気に宙へ舞い上がる。
「きゃっ!」
「怖くないから!絶対離さないから!」
ナライの心強い叫びは有難いけど……やっぱり怖いものは怖い!
地上を見下ろすと、既にさっきの集落が小さくなっていて、ヤマジ達が米粒のように見えた。
人間界とあやかしの世界の移動は、猛スピードで目を開けてられないほどだから、どんな様子かわからない。
今も体に感じる風から、結構なスピードだと思うけど目は開けられる。
スカイダイビングもパラグライダーもやったことないけど……こんな感じなの!?
景色なんて全く楽しめそうもない。
命綱がナライの腕だけっていう状況が怖さの増す原因かも……なんて言ったら、ナライは落ち込みそうだけど。