ナライ……!
胸の奥がキュゥッと締めつけられていると、ナライは言葉を足してきた。
「だって実雨ちゃん……大神様の居場所も知らないのに歩き出すんだもん。放っておけるわけねぇじゃん」
……だよね。
潔くお礼を言って、カッコよく一歩踏み出したけど……実はちょっとどうしようか迷ってた。
私が情けなく笑うと、つられるかのようにナライも目を細めた。
「それに……俺にも、実雨ちゃんが幸せになる手伝い、させてよ?」
「ナライ……」
「ぼっちゃま……!」
感動する私と同じように、ナライの側でヤマジも涙目になって感動している。
「ぼっちゃま、本当に随分と大人になられましたね!恋、ですね。恋……。いやぁ、恋の力は絶大……」
噛み締めるように何度も呟く。
「だーかーら!俺ももうすぐハタチだっつの!」
ナライは顔を赤く染めて、ヤマジに反論していた。