とりあえず、二人が分かり合ってくれてよかった。
私はそろそろ……ウタクの元へ行かなくちゃ。
今も無事っていう保証はないけど……だからこそ、早くウタクの元へ行きたい。
「ナライ。ここまで連れてきてくれて、本当にありがとう」
「実雨ちゃん……?」
「私、ウタクのところへ行くね!」
ナライに背を向けて歩き出そうとした時……
「待って!」
素早く腕を掴まれた。
こっちの世界へ来る前と立場が逆転してるみたい。
「……ナライ?」
問いただしてナライの顔をじっと見た。
するとナライは、黒い瞳の奥に熱い火をともして見つめ返してくる。
「実雨ちゃんを……放っておけない」