「優っ」

「なんでここ通ったんだバカ。」

「…お兄ちゃん。」



バカだな-私も。

優夜とお兄ちゃんの声は確かに似てるけど、間違えるなんて。



「悪かったな。お前の王子じゃなくて。ほら、立て。」



ヤバ、涙が…。

助かったことは嬉しいのに、優夜がいないことがこんなに不安なんて。



「怖かったな。帰ろう。」

「グズ…ゔん。」

「そいや、お前の王子は?」



王子じゃないし。



「バイト…。」



言って、悲しくなるわ。