「ほら、D組の王子様だよ。去年転校してきて、噂になったじゃない。」




あー…、そう言えば確か、去年玲菜がそんなこと言って騒いでたような…





私にとって、その程度の認識しかなかったこの…えーと、芦屋くんが一体何の用?




「その芦屋くんは一体私に何の用があるの?」




「芦屋じゃなくて芦野。芦野 悠(あしの はるか)。よろしく、牧瀬さんに相沢さん」




私の間違いに嫌な顔ひとつせず、にっこり笑う芦野くん。



名前もそうだけど、見た目も背格好も女の子みたいだ。



そんなに背が低いわけではないけれど、男の人にしては華奢だし、顔立ちや雰囲気も男臭くない。



葵と正反対のタイプだな。



正直、こういう裏のありそうな人は苦手だ。




「よくあたしらの名前知ってるね。」



私とは逆に、玲菜は芦野悠に興味津々だ。



目が、輝いている。







「当然だよ。二人とも、有名人だからね」




有名人って…。


なんか想像つくけど…。