「もう、やめてよー」
「あはは、ごめん」
けらけら笑う玲菜。
隙だらけだ。
さっ、と雪玉を作るとそれを玲菜に投げつける。
「きゃあっ」
「あははっ、お返しだよ!」
「璃依ーっ!」
高3にもなって雪合戦をするなんて思わなかったけど、何気に楽しかった。
「ところで、森崎くんはどうしたのよ。いつも一緒に来るくせに」
学校に着いて、教室までの廊下。
突然思い出したらしい玲菜は、葵の話題を口にする。
そう。
毎朝いるはずの葵だけど、今日はいない。
生徒会の任期も終わり、部活も引退した今。
毎日のように登下校している。
けど今日は。
「風邪だって、葵。」
「えぇえ!?うっそ!あの森崎くんが風邪!?」
朝、ひっどい声で電話がかかってきた。
熱があるらしく、今日病院行くって。
受験前だし、大事を取ってとのことだった。