……僕が残るよ」
「な、なに言ってんのよ?」
「沢村の代わりに僕が残るから、彼女は帰してあげてほしい」
「ダメよ!なに言ってるか分かってんの?」
「分かってるよ。お前には、妹も弟もいるだろ?帰りを待ってる家族がいるじゃないか」
「それなら、あんただってお母さんが待ってるじゃない」
「それは沢村から、なんとかうまく言っといてくれよ。どこか旅に出たとか」
「はぁ?なにそれ?あ、わかった。わたしのこと庇う振りして、あんた、ここに居たいんでしょ?」
「バレたか」
「信じられない!ちょっといいヤツかもって思った時間を返して!」
「勝手に思っただけだろ?」
「もういい!こいつ置いてくから、わたしは帰る‼」
そう断言したのだが、
「ダメ。雪乃がいい!」
サリナムは譲らない。
「凄い人気だな、雪乃ママ」
「それ嫌味?」