「なんだよ、らしくない」


優しく肩をぶつける。


もうレイラは、ゴマ粒くらいの大きさまで離れてしまった。


「わたし、お母さん亡くなったんだ」


「……病気でか?」


「うん。で、お父さんも前より仕事が忙しくって。おばあちゃんが一緒に住んでるんだけど、やっぱり寂しくて」


「アイツと一緒なんだ?」


「そう。だから余計、ひどいこと言っちゃったなって」


なかなかスピードは加速しない。


沢村の気持ちと同じなのだ。


「死刑宣告されたのにか?」


「あ、そっか」


完全に止まった。


空の上で、そりゃもうピタリと。


「すんごい危険らしいぞ」


「みたいね」


「生きて帰れないかも」


「だんだん腹が立ってきたー!」


叫んだ雪乃は行くわよ!と、猛烈な勢いでスピードを上げたのだった。