飛ぶスピードが弱まる。
「なんのことだよ?」
オレは後ろから突っついた。
「翼のこと、言っちゃったから」
さっきまで怒り肩だったのに、急に肩を落として、元気がない。
なら言うなよなー。
そう思ったが、口には出さなかった。
「サリナム様の気持ちもわかってあげてほしい。確かにまだ翼が生えないこともあるが、母上を病で亡くされたばかりなのだ」
「そうだったんだ」
「父上は、こことは反対側の国々を統率に行かれ、急遽サリナム様がスイチャーズをおさめることになった」
神妙に話すレイラ。
「レイラさんは、心配でならないんだ」
オレが少し茶化して言うと、
「そ、そんなことはない!急ぐぞ!」
透き通るような白い頬を赤らめ、先に行ってしまった。
「急がないと置いてかれんぞ?」