「本当に飛べるんだな」
ピンクの空に映え渡る漆黒。
翼を広げて空を飛ぶレイラが、感心したように、わたしたちを見る。
前屈みでホウキにまたがる、わたしと神木先輩を。
「翼がない者が飛ぶのを初めて見た」
「でも、ありがとう」
なにがだ?と眉と首を傾げる、青い瞳のレイラ。
「道案内が必要だろう」
「話の雰囲気じゃ、かなり危険なのでは?」
後ろから先輩が。
冷静なんだけど、ちょいビビりなんだから。
「パギヤの泉は、ファーガルの力となる。年に一度、エネルギーを注入しに行くのだ」
「道のりが険しいとか?」
「いや、もう着く頃だ」
「じゃ、なにが問題なんですか?」
「季節だ。誰も冬には泉に近づかない。とんでもない魔物がーーー」
「わたし、悪いこと言ったのかしら?」