効いた。
この一言は、なかなかのパンチ力だ。
わたしには年の離れた妹と弟がいる。
毎日、二人で不恰好なてるてる坊主を作り、晴れるのを祈っていた。
サンタさんがプレゼントを持ってきやすいように、と。
まさか雨が止まないのは、姉のせいだとは。サンタなんて居ない。プレゼントは両親からだ、とは口が裂けても……。
いや?
「サンタって居たの?」
わたしは神木先輩にきいたが、
「今そこじゃないだろ?」
眼鏡の奥の冷静な瞳。
「あの、卵は大切に扱ったし、ファーガルも死んでない。クリスマスは間に合わなくても、僕らの世界の天気は回復するんですか?このままなら水浸しになってしまう」
「そんなん知らねーし」
サリナムは退屈そうにアクビをする。
「今、僕らの世界と言ったか?」
レイラが目を見開いて、
「お前たち、どうやってここまで来たのだ?」