「ちゃんと掴まってて!」
わたしは声を張り上げた。
そうしないと雨音で聞こえないし、そうしないと途中で落ちるから。
神木泰男が。
「ちょ、ホントに大丈夫なのか?」
心細い声が後ろから聞こえてくる。
「大丈夫よ!」
「誰か乗せたことあるのか?」
「あるわけないでしょ!」
「な、なんでホウキなんだよ!」
「これが1番飛びやすいの!」
わたしは、またがっているホウキを両手で握り、力を込めた。
すると、
フワッ。
足が地面から浮いた。
「で、でも絨毯とかのほうがいいんじゃ?」
「もう!うるさい!気が散るでしょ!」
その証拠に、また足が地につく。
「ホントに大丈夫かよ?てか、お前いつから飛べんの?なんで飛べるわけ?」