リンの慌てたような顔と声。


「何でもねぇよ。」


そう言って、制服の袖で涙を拭おうとしたとき。


「あ、あの・・・。どうぞ。大丈夫ですか??」


さっきの歌とは全然違うホンジョウキサの弱弱しい声。


視界の隅に入った小さい手にはハンカチが握られていた。



「あぁ、どうも・・・「なんだよっ!!お前っ!!イクに触んな!!」


あぁ・・・リンにさえぎられて行き場をなくした俺の手がぶらりと落ちた。


ホンジョウキサは「ひゃぁっ!!」と奇妙な悲鳴を発しながら肩を思いっきりびくつかせ、奥にいる女の後ろに隠れた。



「リン!!噛み付くなよ。」


まるでどこかの番犬のように吠えるリンにユサが制す。