後ろに居た男はなにも答えずに私を見下ろして、私の腕を捕まえた。
「な?なんですか??土方さんならあの人ですが・・・・」
私がその人を見上げながら土方さんを捕まれていない方の手で指差した。
それでも何もいわない男。
この男と私たちを緊張した空気が取り巻いていた。
一体いつまでこうしていればいいのだろう。
私がしびれを切らして男に話しかけようとした時、今まで一言もはなさなかった男が一言静かに放った言葉。
「・・・かなえ。」
かなえ?
誰かと間違えている。
私は凛。
だけどその名前を聞いた刹那、私の体の奥深くが反応した。