部屋には明かりがついていて、板倉がまだ起きているようだ。
ったく。早く寝ろよ。油がもったいねぇ。
「おい。板倉・・・・・?」
ふすまを開けて中に入ると板倉が俺の文机にもたれ掛かって寝息をたてていた。
「なんだ。寝てんのか。」
近くまで行くと、文机の上には、おにぎりとお茶が乗ったおぼんが置いてあった。
お茶からは微かに湯気がのぼっていて、まだ温かいことが見て取れた。
そのおぼんの側には
『食わなきゃ倒れる。作ってやったんだから食えよ。』
と、汚い字で書かれた紙が置いてあった。
そう言えば、昼から何も食ってねぇや。
今まで、空腹のことなんて考えていなかったが、おにぎりを見たら、急に空腹感に襲われた。
ちゃんと見てんじゃねぇか俺のこと。
小姓としては気が利くな。
「・・・・うめぇ。」