いや、土方さんには路が見えてなかった。



見えなかった。



凛だけが見えている。



「そう言えば副長。先程副長を訪ねてきたものがいました。」



沈黙を割って話したのは山崎さん。



「俺を訪ねてか?名前は?」



「それが、副長はいないと、伝えると帰って行きました。」



土方さんは、難しい顔をして、山崎さんの話を聞いていた。



しばらく考えて、



「俺に用があるときは、文でと頼んでいる。わざわざ屯所に来る時は急ぎのときだけだ。そいつ、怪しいな。」



土方さんは、眉間にしわをよせ深く考えこんだ。