「遊ちゃんは可愛いから、基槻を好む人はイジメる事はないと思う」



「ん？」



隣に立った剛さんが、窓の外を眺めながら口を開く。

私は首だけを剛さんへ向けた。



「俺の母親、鬱で自殺未遂を何度も繰り返すんだよ。
だから、舞子ちゃんの気持ちわかるんだよね。何となく。
遊ちゃんには、基槻や俺らが居るから、葵衣ちゃんに負けないように！」



「……うん」



私は最後にこちらを向いた剛さんの目をちゃんと見ながら頷いた。

その後、何かに引かれるように基槻を見ると、基槻は“守るよ”と言うかのように、微笑んだ。

私は４人に「ありがとう…」と伝えて、チャイムが鳴りそうな為、走って教室に戻った。

葵衣は、友達と何かを話して居るようだった。