…“危険な香り”…?

意味がわからずヘイジを見る。



「自覚して、あからさまな女は危険て事だよ。遊ちゃん守れよ?じゃなきゃ抱く」



「………あ?」



良い事を言ったと思ったが、“抱く”って一言が、俺の逆鱗に触れた。

下から睨み上げると、ヘイジは「冗談だから!」と慌てる。

…んな冗談を言うな。

俺はため息を吐き捨てながら、景色をまた見る。

何もなきゃ良いけど…。

ヘイジの一言で居たたまれなくなり、隣の教室なのに、この距離がもどかしくなる。

早く授業が終わる事を祈るしかない。

呪うかのように、数学教師と時計を睨む俺に、数学教師と周りのヤツらがビクビクしている。

そんな俺に、隣の女が、怯えながら折り鶴にしたメモを投げて来た。