―基槻 SIDE―



「基槻…?」



俺を泣きそうな顔で見上げて来る遊。

頭を撫でても、変わらない。

原因は――“片桐葵衣”。

遊の親友だったらしい。

だが、こいつは性格が歪んでいると察した。

親友と言うわりには、自己中心的だ。

俺に惚れてるのか、彼女である親友の遊が居ても、気にも止めず迫って来る。

ぶっちゃけ、ウザい。



「基槻、酷いよ!」



「んあ?」



俺が遊の不安をなくそうと頭を撫で続けて居たら、ヘイジを目掛けて突き飛ばした片桐が、俺の腕を引っ張った。

しかも、わざわざ遊の頭を撫でていた方の腕だ。

喧嘩を売られてる気分だ。

殴りはしないが、内心は、かなり殴りたい衝動に駆られる。