胸に広がる、説明の出来ないモヤモヤした気持ち。

ヤキモチではない事だけが、自分でもわかる。



「深川君!」



「あ?」



葵衣が上目遣いで基槻に話し掛ける。

その姿は可愛くて、剛さんやヘイジさんはメロメロだ。



「剛たち呼び捨てで良いらしいの。深川君も基槻で良いかな?」



私は葵衣の視界には入っていだろう。

私より短いセミロングの栗色の髪の毛先を掴みながら言った葵衣。

基槻は冷たい瞳で見下ろして居るが、葵衣は気にして居ない。



「何で?」



「“何で?”って、仲良くしたいからだよ!」



「仲良くしないから、呼び捨てじゃなくて良いな」



基槻はそれだけ言うと、ヘイジさんに葵衣を押し付けた。