「基槻、何センチ?」



「190」



「私…165センチあるんだけど…;;」



25センチの差が、こんなにも大きいと、初めてしった。

しかも…190センチ…。



「お兄ちゃんて、やっぱり小さいんだ…」



「お兄ちゃんが何?」



「お兄ちゃん、178センチだから、小さいなって」



「…や、十分あるから;;」



お兄ちゃんはムキムキとはいかないけど、ガッチリとした体形だから気にならないけど、基槻はスレンダーなせいか、数字より大きく見えてしまうんだろう。

私はこれから“首を鍛えよう”と、馬鹿みたいな事を考えながら、教室を目指した。

―――幸せだった。

これから地獄を迎えるとは知らずに、私は笑いながら階段を下りた。