…強い。

―――そう思った。

遊は「コーヒー、飲んでね?」と、俺の肩を叩き、俺の正面にあるホワイトボードを見て、入浴に行く人たちの名前を笑顔で呼んで誘導して行く。



「…来島さんの彼氏だっけ?」



「まぁ」



いきなり、小池さんから話し掛けられ、俺は遊から視線を外した。

小池さんは「若いのに厳しい人だね」と言う。



「“厳しい”?それは違うと思いますけど」



遊は厳しくない。

この人は何もわかってない。



「あいつは、仕事に責任を持ってるだけ。ただ仕事が好きなだけ。
病めたいなら、遊をビックリさせるほど、言われた事をちゃんとやったらどうですか?」



俺はプリントを封筒に入れ終えた為、輪ゴムで纏めて二野目さんのところへと持って行った。